英文契約は「主要条件」だけじゃない|5大要素の総まとめ
英文契約書を読む際、多くの方は価格や納期、提供内容といった取引の中身、すなわち「主要条件(Commercial Terms)」に注目しがちです。これらはビジネスに直結するため、当然といえば当然です。
しかし、実務において契約の帰結を左右するのは、主要条件だけではありません。むしろ、紛争が生じた場合には、他の部分が非常に重要となります。
本記事では、英文契約の典型的な構造を整理し、実務においてどのように読み分けるべきかを解説します。
英文契約の基本構造
英文契約は、一定の構造に従って条項が配置されることが多く、この構造を把握することで全体像を効率的に理解することができます。そして、慣れてくれば、長い契約書の全文を読まなくても、調べたい条文に短時間でたどり着けるようになります。
典型的な英文契約は、以下のような要素で構成されます。
- 主要条件 (Commercial Terms)
- リスク配分条項(Risk Allocation)
- 誓約条項 (Covenants)
- 期間・終了条項(Term & Termination)
- 一般条項(Boilerplate Clauses)
以下では、それぞれの役割を簡潔に整理し、個別条項の解説記事へと案内します。
5つの要素の説明
①主要条項(Commercial Terms)とは
主要条項 は、契約の「核」となる部分です。商取引のメイン部分が、ここに含まれます。
該当例: Scope of Work(業務範囲)、Payment(支払条件)、Price(価格)。
内容: 何を、いつ、いくらで提供するか。
②リスク配分条項(Risk Allocation)とは
「何かあった時に誰がどのような責任を負うか」を決めるための条項です。
- 表明保証 (Representations & Warranties) : 契約締結時や実行時における「事実(財務状況が健全である、権利を有している等)」を表明し、これが嘘だった場合には表明した側の当事者がリスクを負う、という仕組みです。
【詳細解説】⇒⇒表明保証(Representation & Warranty)と誓約条項(Covenant)の違いとは - 責任制限(Limitation of Liabilities):損害が発生した場合の賠償額の上限を定めます。
【詳細解説】⇒⇒英文契約の責任制限条項とは?立場で変わる交渉ポイントを解説 - 補償(Indemnification):契約の当事者が(主に第三者から)クレームを受けた場合に、他方の当事者が防御・補償する義務を定めます。
③誓約条項(Covenants)とは
- 誓約条項(Covenants):契約期間中に「すべきこと」と「してはいけないこと」を定めます。「期間中に、月次報告書を出す」「競合他社と取引しない」など、将来に向かって継続する義務です。
【詳細解説】⇒⇒表明保証(Representation & Warranty)と誓約条項(Covenant)の違いとは
④期間・終了条項(Term & Termination)とは
契約の「出口」を管理します。
- 内容: 有効期間、解約(中途解約、債務不履行による解除)など
⑤一般条項(Boilerplate Clause)とは
一般条項(Boilerplate)とは、契約の運用ルールや紛争時の処理を定める部分です。
多くの契約で共通する内容であるため見落とされがちですが、実はとても重要です。
- 完全合意 (Entire Agreement)
【詳細解説】⇒⇒英文契約の完全合意条項|事前のやり取りはどこまで効力を持つか - 準拠法 (Governing Law)
【詳細解説】⇒⇒準拠法と裁判管轄の違いとは?英文契約で混同しやすい2つの条項を解説 - 合意管轄 (Jurisdiction)
【詳細解説】⇒⇒準拠法と裁判管轄の違いとは?英文契約で混同しやすい2つの条項を解説
【詳細解説】⇒⇒裁判と仲裁の違いとは?英文契約の紛争解決条項を正しく選ぶ方法 - 仲裁合意 (Arbitration)
【詳細解説】⇒⇒裁判と仲裁の違いとは?英文契約の紛争解決条項を正しく選ぶ方法 - 通知 (Notice)
【詳細解説】⇒⇒英文契約の通知条項チェックリスト|方法・期限・宛先の確認ポイント - 不可抗力(Force Majeure)
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【詳細解説】⇒⇒メールでの契約変更は有効か?Amendment条項の基本と注意点
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